発酵により作り出される保存食に新しい価値が見い出される

現在では、冷蔵技術や冷凍技術が発達しているため、食料の長期保存を簡単に行うことができます。しかし、冷蔵技術や冷凍技術がなかった昔においては、食料の長期保存は生死に関わる重要な課題でした。そのため、自然の現象を活かして、食料を保存するためのアイデアが、古くからの生活の中で活かされてきました。現在では必ずしも食品の長期保存のために、そのような食品加工の手段を取る必要はありません。しかし、保存食が持つ独特の風味やうまみは、現在人にとっても高く評価できるものです。今では、昔の保存技術は、食品の価値を高める方法として広く採用されています。
食料の長期保存を行うための技術として代表的なものの一つであるのが、発酵食品です。微生物の力を使って食材を発酵処理することによって、腐敗しにくい状態へと食品の素材の特性を変えていきます。発酵食品は、元の食材から大きく風味や香りを変える大きな特徴を持っています。癖がある発酵食品も多い点があるものの、この発酵食品が持っている独特の風味を好むという人も多いです。
世界各国には、発酵の原理を利用した保存用の食料加工の手法が編み出されています。こうした発酵技術が編み出され実践される事から、食料の長期保存を可能にしています。日本では、納豆や味噌など、生活に密着した発酵食品が、食品の保存手段として定着しています。一方で西洋で言えば、チーズもまた長期保存に適した発酵方法です。世界中には、美味であったり、あるいは非常に癖の強い発酵食品が、食料の保存の観点から生み出されて現在に継承されています。
乳酸菌やカビなどの力を借りる事によって、食品の発酵は新しい価値を生み出してくれます。発酵という昔からの伝統的な食品の保存方法は、さらに現在の新しいバイオ技術と結びついて発展を遂げつつあります。発酵食品の癖を抑えたり、さらに風味が良く長期保存が利くような発酵食品を作り出す菌を開発することによって、発酵を活用した保存食はさらに魅力的になります。また、発酵の効率化が、生産能力の向上に寄与しています。現在においては、もはや発酵は保存食という枠組みを大きく超えて、食品の可能性を引き出す新しい加工のための手段として採用されています。保存用の食品が持っている価値は、これから将来に渡って損なわれることはありません。保存技術が発達したとしても、新しい価値を見い出して、発展していく事が期待されます。